バン、と机に拳を打ちつけた。
「勝負ついてないだろ……っ!!」
机と拳に挟まれたテスト用紙が悲鳴を上げる。
筆箱が振動で落ちた。
空っぽの放課後の教室に、音は虚しく響く。
きっとあいつは言うんだろう。
『そういえば今って引き分けだったね。うん、なら君が勝ちってことにして』
違う。俺が欲しいのは勝利じゃない。勝ち負けなんてどうでもいい。おまえと競うのが楽しかったんだ。それなのに。
あいつは行ってしまった。
俺には何も言わず、連絡先も教えずに。
今日突然、転校していってしまった。
(お題 勝ち負けなんて)
6/1/2025, 10:04:30 AM