『理想のあなた』
私は息子の部屋を覗くと、あまりの乱雑さにため息が出た。いつもどうしてこんなに散らかるのだろう‥。お姉ちゃんは整理整頓が得意だから、何の心配も無くいたけど、同じ姉弟でも何故ここまで違うのか。
今日も見かねてそろそろ部屋を片付けたら?と声を掛けたが返事は無い。もう聞いているのかいなのかすら分からない。言っても無駄と分かりながらも私のお小言は続き、状況は更に悪化した。ああ、本当にイライラする。私はその怒りのまま浴室へむかった。
なんて酷い顔だろう。洗面の鏡に映る自分は眉間のシワとやつれた顔で下手をすると十歳も老けて見えた。私はこんな顔をして息子に話し掛けていたのか‥。子供が産まれた時、私にもこんなお母さんになりたいと理想の母像があったはず。なのに今は。
5/21/2024, 8:44:45 AM