Mixエース

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初めて俺は戦場で恐怖を感じていた。

現王の弟である俺は王族として、王国のオアシスを守る為率先して戦場に立ち、血と恐怖を持って支えた。
それ故に臣下や国民から血を好む冷酷な戦神と恐れられられた。
俺は別に構わなかった。すべては国の平和の為、だからこそ妻との愛の無い政略結婚も受けいれた。
妻は俺の噂を信じているようで夫婦らしい会話もなく義務的に行為を行い懐妊した。

だが今、俺は他国からの侵略を防ぐ為戦場にいる。
嫌な胸騒ぎが収まらぬも、侵略者を追い返す事に成功した。
「将軍。奥様が産気づいたと…!。」
部下から妻の陣痛の報告を聞いた時、副将軍に後の事を任せ、柄にもなく一人俺は馬を走らせ帰路を急いだ。

屋敷についたとき、赤ん坊の産声が響いていた。
妻は出産という大仕事を達成した疲労感を露わにしつつも、俺の血を受け継いだ赤ん坊を愛おしそうに抱きしめていた。

「ありがとう。…ありがとう。」

俺は気づけばその場で膝を着き涙を流しながら、妻に礼をいっていた。


〈大切なもの〉

4/2/2023, 11:28:51 PM