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小学生の頃に、一目惚れをして、それからずっと憧れていたクラリネット。
ほかの管楽器と比べれば、キラキラしてる部分は少ないけど、それでも私はクラリネットの見た目も、音も大好きだった。
だから、吹奏楽に入って、クラリネットを始めた。

だけど、いつも怒られるのは、私だけ。
音が小さい、指が回ってない、高音がでてない。
挙句の果てには、「今まで何やってたんだ」とまで言われてしまった。

『才能がないんだ』『私には、あんな美しい音は奏でることは出来ない』『もう、辞めたい』

そんなことばかり考えていた。
そして、私は心の奥底でこう思っていた。

『きっと明日も、怒られるかもしれない』

なんて、そう思いながら、半泣きで部活に行っていた時もあった。
でも、変わり始めた時期があった。先生に、いい音が鳴るようになったねと、言われた。
嬉しかった。自信も取り戻せた。

だから、今の自分がいる。
今ももちろん下手くそだし、でも、まだ少ないけど、ソロを任せられるようにもなってきた。
その時は、観客席の向こう側まで見て、ソロを吹くんだ。
クラリネットの美しい音色を、聞いてもらうために。

『きっと明日も、クラリネットを好きになり始める人がいることを、願ってる』

9/30/2023, 10:58:18 AM