秋雀(あすず)

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【物憂げな空】

貴方が居ない今日、私はいつもと変わらぬ日々を創作した。
朝7時にはベットからでて、朝8時半には会社に出勤した。
お昼の休憩時間にはノートパソコンで仕事をしつつも、いつものカフェでゆったりと過ごす。透明な大きな窓ガラスがある固定席に座り込んだ私は、湯気立ち込める焦げ茶色の珈琲を見詰めてはひとくち含んだ。暖かなほろ苦さが口全体に広まって、寒さに悴んだ身体に染み渡ってゆく。もうひとくち含もうとしてカップの縁に口をつけたその時。大きな窓ガラス越しに私雨が目に写った。私は思わず、さっき持ち上げたカップをゆっくりと皿の上へ戻し、暫くは目の前の雨に心惹かれたかの様にぼーっと見詰めていた。ふっと我に返った際に透明な窓ガラスに自分の顔が反射していることに気付く。窓ガラスに着いた水滴と、自分の顔が重なり合う。その光景を目に、何故か勝手に心の中を見透かされた気分になった私は、又ゆらり揺れる真っ黒な珈琲の水面へと目を背けた。

2/25/2023, 8:27:30 PM