「突然の別れ」
突然の別れ
覚悟はしていた
だけど少しでも
お別れの日を引き延ばしたかった
沢山の人に愛されていた
同じビルの隣の会社の人にまで
その人はお母さんと二人暮らしで
亡くなったと聞かされて 家に帰って
お母さんに知らせたら お母さんの方が驚いて
「二人で号泣したのよ
母は 一度も会った事もないんだけどね」
去年、持病が悪化して勇退した後も
普段の食卓に 何気ない会話に
その人とお母さんの話題には上っていたのだろう
「父が亡くなった時は泣けなかったのに
父よりも彼女の死がこんなにも辛いなんてね」
悼みを声に出す事が弔いで
思い出が救済だと
幾度となく
私達は知らされて
皆でぽつり ぽつりと
雨垂れのように哀しみを分け合っている
雪の日に身を寄せて丸くなる雀達のように
5/19/2024, 10:34:53 AM