あなたがいなければ、私に欲しいものなどなかった。
元来、人より物やことに執着のない人間だと自負している。あまり裕福な家庭ではなかったから、父や母の負担になるかもしれないと考えただけで、何かを欲しいという気持ちはすぐに泡のように消えた。友人たちが持っていたゲーム機や携帯電話も、欲しいとねだることはなかった。誕生日のプレゼントも、クリスマスプレゼントも、お年玉も、すべて欲しいと感じたことはなかった。レゴブロックや、ミニカーなどの遊び道具がなくても、両親が様々な工夫を凝らして私と遊んでくれたから、欲しがる必要すらなかった。必要なものはすべて両親といるだけで手に入った。
なのに、満たされていたはずなのに。
私はあなたと出会ってから、何かが足りないと感じていた。欲しい、満たされたいと渇望する熱の暑さを、知ってしまった。満たされないことが、こんなにも苦しいことだと知ってしまった。何をしても満たされない、心の底から望んでいる、"それ"でなければ。
ああ、私はただただ、あなたからの愛が欲しい。
7/22/2024, 8:05:05 AM