花畑
気がつくと綺麗な花畑に私は座っていた、パンジーの葉に止まる天道虫を見つけて触ってみる天道虫は飛び立って、私もそれにつられて立ち上がる、見上げた空は茜色、西の地平線の彼方に人影それに気づいた私は、その人達の元に走り出そうとした、手を振りながら大声で「お母さーん」と叫んだ、叫んで走り出そうとした時背後から私を呼ぶ声が聞こえた、声は木霊のように繰り返し繰り返し幾つも聞こえ、私は走り出そうとする気持ちを抑え声の方に振り返った瞬間の暗転、ものすごい郷愁と母の匂いと父の笑顔と祖母の声を聞いた、その落雷のような走馬灯に包まれ闇に吸い込まれた、、目を覚ますと、病院だった、心配そうに覗き込む夫と子供たちの顔があった。
10年前の秋、私は花畑から帰って来た。
それから、リハビリしてリハビリして以前の日常を取り戻すのに二年。
あの日見た夢は、臨死体験というものでしょうか?お母さん。会うのは、まだ少し先になるようです、やがて夕暮れが来てあなた達の元に帰る、その時はまた迎えに来てくださいね。
少しだけ、死ぬことが怖くなくなり、生きることが、生かされていると思うようになった日に見た夢の話。
令和6年9月17日
心幸
9/18/2024, 1:33:36 AM