ミントチョコ

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題 クリスマスのすごしかた

そう、クリスマス、今日はクリスマスなのよ!?

この時を前からずっとずっと待ち望んでいたの!

え?なんでって?別にケーキが欲しいからじゃない。家族でお祝いも・・・まぁ、するかもね、みんなそれぞれ忙しいけど。

じゃなくて!私の運命の人を呼び寄せるのよ!

この魔法陣を使ってね♪

そうしたら、あら不思議、絶対にステキな恋人が現れて、私の事を溺愛してくれるに違いないんだからっ。

私は期待を込めて魔法陣を見つめる。

あ、この魔法陣は、黒魔術入門って言うので調べた黒魔術では基礎の基礎らしい。

だから、絶対に失敗なんてしないわっ。

出来るだけグロい物体が必要な召喚は避けたし、よーしこれで・・・!

「やめとけやめとけ~!!」

あ、また邪魔者が入った・・・。

私は冷めた目で振り返る。

そこには近くの神社の家の息子のライがいた。

「もー、なんで毎回バレちゃうの?」

「何でって毎回お前理科室から場所変えないじゃん。バレる。いや、ここじゃなくても、オレは邪気が分かるからなっ」

得意気に言うライとは打って変わってテンションダダ落ちな私。

「ねぇ、クリスマスに理想の恋人と過ごすことだけを夢見てるか弱い女の子の微かな希望をなんでうち崩しにくるわけ?!」

「か弱い女がなんで黒魔術使って運命の恋人探そうとするんだよっ」

至極真っ当なこと言ったはずなのに、激しく否定される。
いーじゃん、いーじゃん、夢くらいみせてくれてもさっ。
出るかどうか分からないんだし、ていうか、毎年邪魔されてるし・・・。

「いいよねっ、ライはモテるしさ、私の気持ちなんて分からないじゃん。毎年邪魔されてるおかげで何回運命の出会いを逃したと思ってるの?!」

私の言葉にライは焦ったように言う。

「別にモテてないしっ、運命の人なら召喚しなくてもいるかもしれないだろ、案外側にさ」

「えー、どこに? 」

私はぐるっと辺りを見回す。
今は遅い時間だから、誰も辺りには居ない。

「あの、オレもヒマで毎回ここに来てるわけじゃないんだけど」

私がグルグル辺りを見回してると、ライはため息をついて私に言う。



何言ってんの?

私の顔ははてなマークで1杯だったに違いない。

ライはもう1つため息をつくと私に言う。

「だから、お前の運命の人の召喚あえて止めるために来てたんだよ」

「え?それは分かってるけど・・・黒魔術はあぶないからでしょ?」

「それもあるけどっ、お前のこと、他の奴に渡したくなかったから・・・」

「ええ~!!」

学校の理科室に絶叫が響き渡る。

「ちょっ・・・静かにっ」

焦ったようにライが私の口に手を当てた。

「だだだだだって、そそそそんな」

衝撃のあまり口が回らない私。
ライって私の事好きだったの?!

「いくら何でも毎年止めに来ないだろ。その後一緒にカフェとか誘っててさ、気づくだろ、普通・・・普段も話しかけてるのに、お前魔法陣の研究ばっかで」

そーいえば、止めた後、必ず帰り際一緒にお茶してたっけ?
教室では魔法陣に没頭してたから正直話しかけられてたことも気づいてないかも。

「だって、より精度高くしなきゃって・・・」

毎年、クリスマスには恋人をっていう目標に向けて、日々精進だったからね!

「もう、研究とかいいだろ?」

ライが近づいてくる。

「ち、ちょっと待ってよ、だって私ライのことあまり知らないし」

「これから知っていけばいいだろ?」

「確かに・・・じゃなくて、魔法陣で運命の人と出会う予定だったからライと付き合うとか考えたことなくて・・・」

「じゃあ、考えてくれる?」

案外しつこいな、ライ。
私の反論の余地は無くなってしまったよ。

「うん、分かった、考える」

私が素直に頷くと、ライは嬉しそうに笑った。

「やった」

その笑顔が思いのほか可愛くてつい見とれてしまう私・・・。
ライに視線を向けられて思わず目を逸らしてしまう。

「じゃあ、今年もカフェに行こうか?クリスマスケーキも食べよ」

ライの声音が優しくて慣れない。

差し伸べられた手を取りながら私は頷く。

そして、魔法陣を振り返りながら呟く。

運命の人、ごめんなさい。

私はあなたに出会いたかったけど、出会えないかもしれない。

目の前にももしかして運命があったのかもしれないから。

そう思ってライを見つめると、柔らかい笑みを返されて、暖かくなる心に果たしてこれは運命なのかなと自問自答を繰り返すのを辞められなかった。

12/25/2024, 10:01:41 AM