誰よりも
鏡に写る自分の姿を見て誰よりも美しいと思う。
そして狂おしい程に自分を愛している。
何人もの女と付き合ったが、出来るだけ私に似ている女にした。そうして私に似ている選手権を勝ち残って優勝したのが今の妻だ。そんな私と妻の間に娘ができた。当然私に似ている。だが、妻も娘も結局私ではない。例えば私に瓜二つの人間を10とすると、妻は5で、娘は4だ。私は妻を5愛しているし、娘を4愛している。
それは突然だった。会社から駅に向かう道すがら、私に瓜二つの男が前から歩いてくる。私は目で追ったが、その男は私を無視して歩いて行ってしまった。私は追いかけると、男の前に回り込んだ。
「なんで無視する?」
「当たり前だろ?自分そっくりの男に会って嬉しいか?」
「私は嬉しい。」
「お前ナルシスト野郎か?自分そっくりの俺に抱かれたい口だろ?」
「抱いてくれるのか?」
「ついてきな。」
男の部屋に通されると一瞬で性癖が分かった。壁にかけられる手錠や鞭。
「服を脱いで、ベットに上がりな。」
両手を手錠で拘束され、目隠しで視界を遮られ、裸で四つん這いになる。
ヒュン。風を切る音がしたかと思った瞬間、ムチの衝撃が地肌に走った。
私が私を痛め付ける快感。股間がドクンと言って血が流れ込んでくる。目隠しで確認することはできないが人生最大の勃起をしているに違いない。
「おいおい、1発貰っただけでフルボッキかよ。自分ばかり楽しんでないで俺のも楽しませろ。」
手錠された手で男の股間を探り当てると、男のペニスを咥え込んだ。
幸せな時間だった。時間はあっという間に経って、男は満足して寝てしまった。スマホには心配した妻からの履歴が残る。
「残業して遅くなった。今から帰る。」
帰宅すると妻が擦り寄ってきた。
「心配したよー。今日は早く帰って来るって言ってたのに。今晩いいんでしょ?」
今、私の体にはムチの跡や、ロウソクの跡、縄で縛られた跡などが残っているだろう。夫婦生活が終わるかも知れない。しかしどうでもよかった。むしろ全てを公にした上でこの女を痛めつけたいと思った。
女をベットに押し倒すと無理やり服を脱がせた。
「ワイルドなあなたも素敵ね。」
しかし、この女の余裕も、前戯もしないで挿入しようとすると悲鳴に変わった。
「痛いよ。やめてよ。」
「五月蝿い、雌ブタが。」
女の臀部を激しく打ち鳴らす。
「いやー。」
女の姿を1時間前の自分の姿に重ねる。初めて女を可愛いと思った。女のお尻は真っ赤に腫れ上がっている。私は精魂尽きるまで、腰を打ちつけ続けた。
「あなた、もっとちょうだい。もっと痛めつけて。」
初めて私に愛されている喜びが女を雌ブタにさせていた。恍惚の表情を浮かべて、私からのご褒美を待つ姿は凄く醜いと思った。
そして女の醜い姿を自分に重ねることで、人生で初めて自分のことを嫌いになることができたのだった。
2/17/2024, 2:51:13 AM