目が覚めると
目が覚めると、彼の腕の中にいた。
(そうか……、昨日…)
と朧気な記憶を辿る。
身体が思うように動かない。
貫かれた鈍い痛みが走る。
でも決して不快ではないその痛み。
(好きな人と結ばれたんだ…)
彼の匂いや温もりに安心感を覚える。
耳を澄ませると彼の鼓動が聴こえた。
やはり夢ではない。
もう少しだけ、まどろんでいたい。
こんな幸せがあったんだと実感したい。
彼の背中に回した腕に少しだけ力を入れる。
彼が目を覚ましたら「おはよう」と言おう。
特別な挨拶だ。
そうして私は再び、眠りについた。
7/10/2024, 12:42:41 PM