[8 脳裏 と同じ世界線]
初めて罪を犯してから丸2年が経った。
その後も罪を重ねて、一体何人の命を奪っただろう。
ただの大学生だった俺はすっかり殺し屋になっていた。
「──。」
トップが俺の名前を呼んだ。
「何?帰ってきたばっかなんだけど。」
「依頼だ。」
「聞いてた?今帰ってきたんだって。」
「じゃあ、他の奴がヤってもいいのか。」
「は?」
差し出された画面には、よく知る顔が写っていた。
なぜ、こいつがターゲットになった。
こいつは明るいところで真っ当に生きているんじゃないのか。
「こいつが何をしたんだ。」
「この界隈の情報を嗅ぎ回ってる。」
「何のために。」
「さぁ?そこまでは。」
「俺が断ったら、」
「他の組織が消しにかかるだろうね。」
どうする?とファミレスでメニューを選ぶくらいのノリで聞かれて、感情が揺さぶられる。
俺が殺らなくても殺されてしまうなら、
「俺がやる。」
「そうこなくっちゃ。他の連中が気づく前によろしくね。まだ、俺達しか知らないから。」
「あぁ。」
「データは送っておくよ。いらないと思うけど。」
俺も一緒に死ぬか、或いは──。
あぁ、案外ありかもしれない。
理由はともあれこちら側に踏み入れてしまったのなら待つのは堕落か死だ。
明日にはあいつの元へ向かおうか。
待ってて。すぐにまた会えるから。
(11 また会いましょう)
11/13/2023, 1:55:57 PM