七夕を迎えた今日の丑三つ時
私は悪夢を見ていた。
いや、あれは悪夢ではなく
実際に起こったことだ。
……ン。…スン。ドスン。ドスン。
ゆっくりと繰り返す地響きで目を覚ました。
だが異様な空気を感じて目は開けなかった。
闇のように重い空気が私を包んでいる。
寝ている私の周りを巨大な何かがゆっくりと
軽い地震くらい地面を震わせながら歩いている。
ドスン。ドスン。ドスン。ドスン。
明らかに異様な存在を前にして
私は恐怖から体を硬直させ
寝ている振りをし続けた。
なぜかって?
起きているとバレたら私は死ぬ。
姿を見ることができないその巨体は
時折私のことを覗き込んでいるようだ。
肝を冷やしながらも平静を装い寝続けた。
何周した時だろう
除湿器が稼働を始めたと思った途端
巨体も重い空気感も姿を消した。
でもまだ油断ならない。
私は目を開けられなかった。
そしてまた重い空気とともに
巨体の地響きが私を震わせた。
死ぬ…。死ぬ…。
目も開けられなければ
体を動かすこともできない。
あまりの恐怖に私の脚は震え始め
バレたら終わる…!という思いが
私の拍動をさらに速めた。
地響きしか聞こえない世界で
私の心音だけが全身から響きわたる。
しばらくすると気配は消え
普段の軽い空気があたりを包む。
それでもまだ固く目を閉じていた。
さすがにもういいだろうと思った私は
恐る恐る目を開き時計を確認した。
時刻は午前3時頃を指し示していた。
そして今度こそ寝るために目を閉じた。
寝られず寝返りをうったその時…。
あたりを重い空気が支配した。
もう勘弁してくれ…。
息を潜めつつ寝た振りをする。
今回は巨体はいないらしい。
しばらくすると空気が軽くなった。
それを何度か繰り返したのち
空気が重くなることはなくなった。
時刻は午前3時半過ぎ。
外が白み始めていた。
部屋に光を入れたくて
カーテンを15cmほど開ける。
また眠りについたところ
もう重い空気に支配されることはなかった。
目覚ましの音で目を覚ました。
光を感じカーテンの方を見やると
そこには15cmほど開けられたカーテンがあった。
これは悪夢なんかじゃない。
執筆のための創作でもない。
これは今日現実に起こったこと。
お願いだから、信じてほしい。
7/7/2024, 1:21:53 PM