REINA

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世界の終わりに君と



勇者が魔王を討伐してハッピーエンドというのが、冒険譚の王道だ。
でも、この世界ではそうはならなかったらしい。

勇者は死んだ。
今日で世界が終わる。
そう魔王が宣告してきた。

もうすぐ終わるというのに、何だか僕は落ち着いていた。
多分、死ぬのが自分だけではないというところが、落ち着かせていたのかもしれない。

「ただいま」

視線の先にはベッドに横たわっている僕の恋人だ。

「おかえりなさい」

といつもよりは少し元気な声が返ってくる。


病気の彼女は遠出はできない。
だから昼間は庭でピクニックをした。

彼女の笑顔が久しぶりに見れた感じがする。

「夕日が綺麗だよ」

そう言って窓を開けてから彼女のベッドに腰をかける。
明日はもう来ない。
この素晴らしい夕日も今日で見納めだ。

そう考えると、日々をもう少しどう生きようかと、真剣に考えるべきだったかもしれないが、今更遅い。
それに、僕のやるべきことは、明日世界が滅びようが、そうで無かろうが関係ない。

彼女のそばにいること、それだけだ。
今夜は彼女を抱きしめよう。

世界の終わりに君と僕の心は一つになる。

6/7/2024, 12:09:30 PM