とある恋人たちの日常。

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 今日も仕事疲れた。
 雨の日に新月は運ばれる患者が増えるから、終わったあとの疲労感は半端じゃなかった。
 
 夕飯も、お風呂も終わらせていると一気に疲労感が溢れて眠気に襲われる。
 
「眠いなら早めに寝た方がいいですよ?」
「え?」
 
 気がついたら、見ていたテレビ番組が終わっていた。
 
「寝てた……よね?」
「はい、寝てましたね」
 
 同棲している恋人は、柔らかく微笑んで俺の手を取る。
 
「寝ましょ」
「……うん」
 
 彼女に手を引かれながら寝室にたどり着くと、広いベッドに倒れ込む。彼女が掛け布団をかけながら、俺の頭を抱きしめてくれた。
 
「ありがとう、癒されるー。今日は本当にちかれたー」
 
 彼女の体温に、ふわふわとしたベッドの布団が心地よくて、身体中の疲労が溢れて眠気を誘ってくる。
 でももう少し彼女の温もりを感じていたいー……。
 
 それなのに、彼女が俺の頭を優しく撫でてくれるから、意識が飛びそうになる。彼女だって仕事してきたのに甘えきってるなー。
 
「甘えてごめんね」
「ふふ。私がへろへろになった時は、いい子いい子してくださいね」
 
 ちゅ。
 
 これのつむじに柔らかい温もりを感じる。
 眠る前のちゅー。これが安心に繋がるんだよね。
 
 明日は俺からするんだ。
 
 そんなことを思いながら、熟睡してしまった。
 
 
 
おわり
 
 
 
一七〇、眠りにつく前に

11/2/2024, 1:55:29 PM