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4/29「風に乗って」

 風に乗って、どこまでも行こう。翼を広げて、どこまでも。
「さあ、そろそろ降りるよ」
「え。まだ飛んでたい」
「だめ。ここより南には過ごしやすい湖がないのだから」
 父さん母さんの後を追って、湖に降りる。兄弟たちはみんな無事だ。
「さあ。ここで冬を越すよ。いっぱい食べてね」
「はーい」
 僕たちは渡り鳥。春になったら、また風に乗って、北へ向かう。

(所要時間:4分)



4/28「刹那」

 刹那の間に、全てが消えた。
 ただ私一人が、ここに漂っている。
「地球はどうなったんだ…?」
『消えたよ。神がそう望んだから』
「それは、どうして?」
『忘れたのか? …そうか、そういう事か』

『君が、神だったからだよ』

(所要時間:3分)



4/27「生きる意味」

 物事に意味を、つまりは何らかの正解を、求めたがるのは人間のサガだ。
 生きることに意味などありはしない。生はただそこにあるだけだ。種の保存? それは生きる意味にはつながらない。
 強いて言うならば、己の道を全うするのが「生きている人間の」生きる意味、なのだろう。
 人間も、生きることも、難儀なものだ。

(所要時間:3分)



4/26「善悪」

「やっていい事と悪い事の区別もつかないのか?!」
 年端もいかぬ子供にそう怒鳴りつけるあの人間は、そもそもその子供に善悪を教えていない。怠惰、責任転嫁、自制心の欠如。悪行に3ポイント。
 さて、あの人間が地獄に落ちないためには、あと何ポイントの善行が必要かな?

(所要時間:4分)



4/25「流れ星に願いを」

「あっ、流れぼ」
「はい時間切れ」
 ぷくーっと頬をふくらませる。
「流れ星消える前に3回願い事言うとか無理がある」
「願い事は叶わないものだってことだね」
「誰だよこんな不毛な言い伝え作ったの」
「ロマンが過ぎるか意地悪が過ぎる人かな」
「…流星群は全部で流れ星1回にカウントされないかな」
「さあ?」
 不毛だ。箒星の話なのに。いや箒は毛じゃないか。
 願いを叶わせる気がないなら、夢を持たせないでほしい。結局、地道な努力をしろってことか。

(所要時間:8分)



4/24「ルール」

「それは曲げられないんだよ」
「どうしてですか」
「ルールだからね」
 先輩は事もなげに言う。
「魂を刈り取らなければ、人は無限に殖えて地上にのさばってしまうだろう?」
「でもあの子は…」
「特例は許されないよ」
 そんなルール、くそくらえだ。鎌を投げ出して飛び去る。
「…やれやれ。神様はそこにもルールを設けてくれないものかね。また天使が殖えてしまうよ」

(所要時間:5分)



4/23「今日の心模様」

 今日の心は荒れ模様。友達に離縁を告げられたから。
 ずっとずっと仲がいいと思ってたのに、向こうにとってはそうじゃなかった。
 なんでなんでなんでなんで。不満があるならもっと早く言ってくれればよかったのに。
 いや、言われてたかな。言われてたような気もするな。
 落ち込む。思い出して怒る。悲しむ。
 今日の心は、やたらめったら忙しい。

(所要時間:4分)



4/22「たとえ間違いだったとしても」

 君を永遠に生かしたい。君を私と同じ存在にしたい。
 たとえそれが間違いだったとして、私が後悔することはないだろう。
 たとえ君が私を恨んでも、私は後悔しないだろう。
 傲慢? 結構。私は私の信念を貫く。それがたとえ間違いだったとしても。

(所要時間:4分)

4/29/2024, 1:56:35 PM