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軌跡


『我に続けー!!!!!』j

『おーーーー!!!!!』


鉄の仮面をかぶった若い男
ドドドッと騎士団たちが走り出す。


1161年エルサレム王国
聖地の陽光に包まれ、城に生まれたボールドウィン4世は
誰よりも聡明で静かな子供だった。
学問を愛し、剣術を学び、神に祈る日々

だが、彼が10代前半のときに手足に痺れが走り感覚が
鈍くなっていく




『ん?』


ボールドウィン4世は
10代前半でハンセン病(らい菌)だと伝えられ
12世紀にハンセン病を治す薬など存在しなかった
当時、[神の罰][罪の結果]と考えられて
嫌われていた病だった


祈りや懺悔
ハーブなどの民間療法
聖職者による祝福や癒しの儀式が多く取り行った



彼は知性と政治力、軍事的能力が優れていた為、
隔離はされなかった
そして病は初期の段階だった為、重度の
症状が現れる前に即位した王




『この身が滅びようとも我が民たちを守ろう。それが
王の役目だろ』




〜病とともに生きる国王なんですって〜




戦前には城の者たちが


オールドウィン4世から距離を離れ
彼の心に芽生えたのは孤独と怒りではなく
[どう生きるか]だったのだ


彼が13歳のときに父であるアモーリーの死とともに、
わずか13歳の若さで王位に就く
。冠が彼の頭に乗っかり、その重さが
悩みを抱えていたのだ。


彼の前にいる
ギー・ド・リュジニャンや貴族たち 
そして彼が抱える己の身体  
王冠は、彼にとって希望か、それとも十字架か




1177年11月、パレスチナ北部

モンジザールの戦い

乾いた風が強く吹きながら十字軍兵の陣に緊張が走る
向かいには、圧倒的な兵力を持つサラディン軍
エルサレム王国軍は、たったの500騎の騎士と数千人の
民兵だけ


そして


銀の仮面を付けた若き王が立っている。



『撤退すべきです。これでは陛下…』

『いや、サラディン軍を突く好機だ。奴らは我が逃げると踏んでいる』


仮面の下17歳のボールドウィン4世の声は凛としていた。
病により指先は動けれないが馬上での姿勢も人の手を借りて保てない


『我が君は神の意志のもとにある。退くことこそ、
滅びを招くのだ』


白いマントが風により動き、ボールドウィン4世は愛馬と共に、戦列の前に立つ。

その瞬間サラディン軍の命令により襲撃開始されたのだ 

仮面の中で口元から血を流すオールドウィン4世 

人々たちにより彼は助けられ
サラディン軍は撤回していく

  

1185年エルサレム王宮



ボールドウィン4世は、かつて戦場にて仮面をかぶり
戦に参加していたが今では歩くのも不可能だった
手足は動かす、顔の皮膚は崩れ、目もほとんど見えない
それでも彼は王座から降りようとしなかった。 


『王国を守るのは健康な肉体ではなく揺るがぬ意志だ』


そう言ってギー・ド・リュジニャンを摂政から退け、
幼い甥を後の後継者として甥を王座としていく。
最後の政治的決断を下すオールドウィン4世



それは彼の最期の戦だった



ある夜、侍医と司祭ウィリアムに看取れながら
彼は静かに祈りを捧げた。


『この身は朽ちようとも、エルサレム王国は滅ばない…』




白い布で仮面がソッと外された。

かつての王だった彼の瞳は、すでに面影を
止めていなかった。だが、その眼差しには、
なお光が宿っていた。



『神よ、民を…我が愛しきエルサレムを
お守り下さい…』



その瞬間、風が礼拝堂の窓を揺らし
ロウソクの炎が揺れたのだ。



彼の心臓は、ゆっくり静かに止まった
ボールドウィン4世の死から誰もが確かに感じた。


〜この国を守ったのは1人の青年王の魂だったと〜



彼の遺体はエルサレム(現在のイスラエル国)
聖墳墓教会に葬られた。その仮面と元に

5/1/2025, 9:33:46 AM