不整脈

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「じゃあね」と言ったとき、
本当はまだ「またね」と言いたかった。
手を振った瞬間、
指先に何かが滲んでいくのを、感じていた。

沈む夕陽は、
この胸のどこかを焼きつけていった。
あの駅の改札、背中ごしの微笑み。
あの瞬間、わたしは
もう会えないかもしれないことを、
ちゃんと理解してしまっていた。

それでも、言葉にはしない。
だって、きっと、
いつかまた出会える気がしていたから。

時間は、いつだって無慈悲だった。
でも、記憶はやさしい。
あの日笑ったあなたの横顔だけは
何度だって、思い出せる。

またいつか、
あの坂道を
肩を並べて歩けたらいいな。

またいつか、
あなたの名前を
小さな声で呼べたらいいな。

またいつか。

7/23/2025, 6:01:33 AM