『あなたとわたし』2023.11.07
気が付いたらいた存在だったので、彼のことを義兄だと思ったことはない。
当然、血など繋がっていようはずもない。再婚するから義兄ができるのだ、と聞かされたときはなんとなく受け入れて、かの人と初めて会った時も、なんとなく受けいれた。
ただ私と義兄の違う点と言えば、事前にそういう話があったか否かぐらいだ。
前述したとおり、私は事前に伝えられていたので、受け入れることができたが、義兄はなにも知らされていなかったので、何とも言えない複雑そうな顔をしていた。
一緒に家で過ごしたのはほんの数か月。高校を卒業と同時に、義兄は家を出てしまったので、そこにいたことすら忘れてしまうほどだった。
しかし、場所は違えど同じ板の上で生きる人間となってからは、よく連絡を取るようになった。
立場上、おいそれと会うわけにはいかないが、それでもお互いの舞台を見に行く程度には仲がいいつもりである。
たまに血がつながっていないので、そういう感情はあるのかと下世話なマスコミに訊かれることもあるが、どういった経緯があればそういう感情を抱くのか逆に知りたくなった。実にバカバカしい話である。
彼を義兄と思っていないのは事実である。
ただ戸籍が一緒なだけの他人、と言ってしまえば冷たく聞こえるだろうが、事実そうなので私も彼も同じ認識だ。
もし、無理やり表現するのならば、そう。
アナタと私は親友であり、戦友である。
11/7/2023, 1:47:53 PM