お題《視線の先には》
秋の雪がはらはらと散りゆく街は黄昏色に染まる。
切り取られた季節は繰り返す。
ある青年は言った。「ここは誰かの夢。誰かの季節。失いたくない、このままでいたい――“繰り返す”にはじゅうぶんだろう?」
ある少女は嘆いた。「想いは時に人を苦しめます。それでも想わずにはいられないでしょう、わたしたち人は」
ある少年は、それを絵に描きのこす。
「僕にできることは、絵を描くことだから。この街を描くんだ。それがきっと救いになるって信じてる」
誰かの夢。
誰かの季節。
たったひとりの誰かを救うことが、この季節の先に繋がるんだ。
7/19/2022, 12:00:17 PM