【老いたからこそ、挑戦を】
遥か遠い空から離れ、どれほどの年月が経ったのだろう。この地の底は人口太陽と天井に貼られた偽の空で作られた変わらぬ天気しか無い。
己の背の羽は墜ちた原因の怪我が治ってからは、かつての栄光から程遠く赤子よりも小さくなってしまった。今まで、戻ろうにも確実に戻れる保証が無くなっていたのだ。
地底の住人が嫌いという訳ではない。彼らは気が良いから、離れがたくなってしまうのだ。姿形が違う己にも、偏見無く関わってくれるのも、精神に優しかった。
だが、己はもう老いてしまっている。ならば最期だと思い、以前から見つかっていた大穴から、地上を目指すことにした。
大穴には多くの危険があり、地底の彼らでも安易に手を出せない地だ。だからこそ、いつ死んでもいい今の己は行くのだ。
あの、遠き空へ。
あの、生まれ故郷へ。
雲よりも高き大地へ。
4/12/2026, 11:51:32 PM