空に暗幕が張られ聴衆の星々が見えなくなると秋の訪れにスタートダッシュを決めようとした蜻蛉が慌てて舞台袖へと消えていく。 台風が過ぎ去ると玄関先に散乱していた蝙蝠のフンは綺麗に洗い流されていたが、蜻蛉は出鼻をくじかれてコンクリートに突っ伏していた。残暑の気配を感じる熱風に対して、アンコールに答えるピアノ奏者のように蝉が再び鳴きだした。題『台風が過ぎ去って』
9/12/2025, 7:41:21 PM