いしか

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忘れたくても忘れられないこの思い出は、
どうしたら消すことが出来るのだろう。

それは恋に限らず、日々の生活にも沢山ある。良いこと、悪いこと、嬉しかった事、悲しかった事、本当に一杯ある。


「さやー、準備できたー?」

「うん。出来たよ」

私を呼びかけたのは私の彼氏で、夫となる彼
今日、私達は少ない友人の前で結婚式を挙げる。
結婚式は、出席する人が多ければ多い程、後に離婚する確率は少ないと言われているけれど私は、そんなことないと思っている。
所詮、迷信だと。

私と彼は、駆け落ちした。理由はここでは省くけれど、所謂、親に結婚して良いと許されなかった私達なのだ。

親不孝で、どうしようもない。
これから先の悲しさを私達は背負っていくのだ。

「いつもカッコいいけれど、今日は一段と良い男だね。真昼(まひる)」

「そう?さやも可愛くて、綺麗だよ」

「あははは、ありがとう。」

こんな時はいつまでも続いてほしいと思うけれど、生きている限りそんな事はない。
きっと、苦しくて辛いことも、半々なんだと思う。

それでも、私は今、私達の結婚式に参加しようと思ってくれた友人達に誓いたかった。

約束したかった。

私、頑張るからって……、真昼と、頑張るからって……。

友人達の拍手に導かれながら、私達はバージンロードを二人で進む。

それを包むかのように、優しい風が式場を吹き抜けていった。

10/17/2023, 9:29:22 PM