多田野一人

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刹那
暖かい春のあの日、ポツポツと降り始めた葉桜の並木道を歩いてた。空は半分青空で、キラキラした陽射しを浴びながら、七色の雨に戸惑って。少しづつ強くなってゆく雨の中、雨宿り先を探し始めた時、ふっと耳元を風が通り抜ける。同時に、懐かしい声が聴こえた。振り返るその向こうは、緩いカーブになっていて、当に散った筈の桜が一輪咲き残っていた。その樹は確か…

4/28/2023, 2:20:46 PM