月と幻想

Open App

何度も甦る


夕方5時のチャイムが鳴り
少し早めの夕ご飯を済まし
半袖に短パン サンダルを履いて
車の後部座席に乗り込んで
向かうのは港近くの親戚の家

陽が沈むまでは家で涼み
辺りを照らす光が
屋台の灯りに変わる頃
微かに聞こえる
虫のざわめき 海の波音と
一帯の雰囲気が私を溶かし
流れてく時間と浜風と気温が
皆の体温とテンションを冷ます
そして静かなざわめきが
夜空を彩る大輪の花へ

昼間に見えた入道雲の
名残を感じさせる空に咲く大輪
鳴り響く音 盛り上がる歓声 光の余韻
それぞれが それぞれを
より美しく より華やかに


何度も蘇る
胸焦がす思い出だけが
今は波間に揺れている

7/28/2024, 12:26:06 PM