ミヤ

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"またね!"

"痛くないの?"と聞くと、"痛いよ"と言う。
"苦しくないの?"と聞くと、"苦しいよ"と答える。
"憎くないの?"と聞くと、"憎くないよ"と貴女は微笑った。

青色が少しずつ深まっていくのを、傍で見ていた。
一滴ずつインクを垂らしていくように、どうしようもなく確実に。
それでも貴女は家族を慕っていた。
だったらしょうがないよね。
家族は大事だもん。

またね、と家路に着く貴女を見送って、
あとどれくらいもつかなぁ、と考えていた。



もう少し介入が早ければ、貴女に取り返しのつかない傷を負わせることはなかったのかな、と今でも思う。
自分勝手な正義感と思い込みは相手を殺す。
望まれない限り、相手の事情に口出しするべきではない。
でもね。
本当に助けを必要とする人間は、
決して自分から助けを求めてくれないんだ。
だから、救いたい人がいるなら迷うな。
手遅れになる前に、こちらから手を伸ばせ。
たとえ伸ばした手に縋ってくれなくても。
嫌われても、拒絶されても、それでも強引にでもその手を掴まなきゃ、失くしちゃうんだよ。

3/31/2025, 4:30:56 PM