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優越感、劣等感

……そんなもの、感じた事があるかと聞かれたら劣等感しか感じたことがないと胸を張って言えるだろう。

優秀な兄がいる。そのせいで、これまで1度たりとも褒められたことがない。

テストで100点をとった。父様に報告した。もっと上を目指せ、100点で自慢するなと怒鳴られた。


絵画コンクールで一位を取った。母様に絵を見せた。こんな絵、兄が描く絵の足元にも及ばないと、破り捨てられた。

兄はきっと冷たい人だ。他人には見向きもしないどころか、実の弟である自分にただの1度も笑いかけたことが無い。



悲しいとも感じなかった。自分にあるのは、ただただ純粋な劣等感だけ。優秀な兄に対する、醜い嫉妬。

だがそんなある日、そんな劣等感が覆った。

兄が、俺のことをほめたのだ、あの、兄が。
お前はすごい、偉い、私の自慢だ、と。

それだけ、ただそれだけだが、とてつもない優越感が湧き上がった。

兄が俺をほめた、他の誰にも向けない顔で、俺の、俺だけのことを───

それだけで、全部全部どうでも良くなった。父上も母上もどうでもいい。

兄に褒められるなら全て全て!!!


あぁ、兄さん兄さん!!もっともっと俺を褒めて、兄さんが褒めてくれるなら俺は何でもできるから!!!

7/13/2024, 12:06:21 PM