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些細なことでもの続き

胸の鼓動

ドクン ドクンとさっきから心臓の音が
やけにうるさい
ハイネは、目の前の光景が信じられなかった。

シズクの脈がない.... それは、つまり....

シズクが死んだ.... 嫌だそんなの認めたくない.... そんなの何かの間違いだ....
悪い夢なら 早く覚めてくれ....

シズク.... シズク....
何で最後に会った時 俺は、シズクの腕を
離してしまったんだろう....

何でシズクの笑顔を見送ってしまったんだろう..... ハイネの体は、頽れて
目からは、止めどなく涙が流れてくる。
「っ.....うっっ....」歯を食い縛って
必死に迫り上がって来る嗚咽に耐えるが
涙は、ハイネの意思に反して後から
後から流れてくる。

何で俺は、もっとシズクを大切に出来なかったんだろう....
気持ちを誤魔化して泣かせてばっかで
結果守れないんじゃあ....
好きだなんて言う資格なんか無いじゃあないか....

「っシズク....ごめん....俺 お前に何も
してあげられない....」
こんな事になるならもっとシズクが
喜ぶ事をすれば良かった....
好きだって早く伝えれば良かった....
告白してフラれてギクシャクして
シズクと喋れなくなる事が怖くて...
気持ちを誤魔化して 先延ばしにして
結局 俺は、自分の事ばっかだった...。

「シズク....シズク...」俺は、シズクの体温をこれ以上逃がさない様にシズクの体温の残りを探し求める様にシズクを抱きしめた。

「っ ふっ うっ うっ っっ」嗚咽が
止まらない肺に空気が送れない苦しい
シズクの顔に俺の涙の雫が零れるが
涙は、指先で拭いても 拭いても止まってくれなくて....

どれくらい俺は、そこに蹲っていただろう
我に返った時には辺り一面暗くなっていた
「タマ....」俺は、今の今まで存在を忘れて
いた魂の名前を呼ぶ
俺がシズクを抱きしめながら視線を上に
向けるとタマの魂の質量が大きくなって
透明で青みがかっていたタマの魂の色は
いつの間にかどす黒く澱んでいた。
黒く穢れたタマは、あのルークとか言う
男に襲いかかる様に大きく口を開けその男を丸呑みするかの様にルークの体に
タマが飛びかかる。

ハイネは、咄嗟にタマとルークの間に入り
鎌でタマの動きを止める。

「タマ正気に戻りやがれそれ以上穢れたら
俺は、お前を浄化するんじゃなくて消滅させなきゃならなくなる.... そんなこと
俺にさせないでくれ」ハイネは、タマを正気に戻す為に必死に頼み込む

ハイネの言葉が通じたのかタマは正気を
取り戻す。
『ハイネ少年!』
ハイネの言葉に合わせる様に魂が縮んで行きタマは、元の大きさに戻った。

これで場が収まったかに見えたが
そんな空気を裂く様にルークファーラムが
ハイネの背中に声を掛ける。

「君とは、初対面のはずだけどまさか
庇われるとは思わなかったなあ....
別れの挨拶は、済んだ?じゃあさっさと
シズクちゃんを僕に返してくれない?
姉さんの大事な器なんだから....」

その瞬間 ハイネは、ルークを睨み上げる
「黙れよ!別にテメェを庇った訳じゃねぇ
テメェの事情なんか俺にはどうでも良いんだよ!シズクは、渡さねぇこれ以上お前の好き勝手にシズクを良い様にされてたまるかよ!」

ハイネの挑発する様な言葉にルークは、
ハイネに対して理不尽な言葉を投げかける
「どうして皆僕の邪魔をするのかなあ
あともう少しなのに...... あ~イラつく」

ルークの纏う空気が変わる
その異様な空気にハイネは一歩後ずさる
その空気を破る様に扉が開かれる

「「ハイネ君!」」 「「ハイネ!」」
見ると扉から ハロルド局長 マリア
ミーナ ナイトが姿を現した。

倒れているシズクを見て ミーナ ナイト
マリアが駆け寄る 「「シズク」」
「シズクちゃん」マリアがシズクの脈を取り目を見開く
「局長!」マリアがハロルドと目線を合わせる。
ハロルドがそれを受けて一つ頷く
「マリア君 手筈通りに頼むよ!」
「かしこまりました局長!」
ハロルドの言葉を受けてマリアがシズクの
体に手を翳す。
そしてマリアは、タマに話掛ける
「タマさんこちらに手を貸してくれませんか?」
『もちろんだ生憎手は、無いがこの身
一つでもいくらでも貸そう!』
タマの声は、マリアには、聞こえないはずだがまるでお互い分かっているかの様に
意思疎通が取れていた。

「シズクちゃんは、まだ死んでないわ!
私とタマさんが必ずシズクちゃんを
助ける!だから貴方達は、局長と一緒に
ルークファーラムを止めて そしてもう
一つの魂もルークファーラムの手から
取り戻して!」
シズクは、死んで無いその言葉でハイネの
心は、奮い立つ

四人は、それぞれ武器を構える。
ナイトとハロルドは、短銃と長銃を
ミーナは、レイピア ハイネは、愛用の鎌を....
四人が対峙したルークファーラムは
禍禍しい黒いオーラを放つ長剣を携えて
歪んだ不敵な笑みを湛えて
四人を迎え撃つ

今 最終決戦の火蓋が此処に落とされたの
だった....。

9/9/2024, 6:55:11 AM