「……?」
目からとめどなく流れていく液体。
ソレは手にこぼれ落ちてきて、やっと認識できた。
「…??」
分からない。
どうしてこうなっているのか。
どうして泣いているのか。
周りを見回して探してみても、この部屋が暗すぎてヒントになるようなものを見つけることが出来ない。
………きっと、
「?」
そう言えば、隣にいたはずのあの人はどこに行ったのだろう。子供体温で、冬でもあったかいあの人の安心出来る温もりが無い。
先に起きてリビングにでも行ったのかな。
「…あ、起きたんだ。おはよ」
ガチャ、とドアが開く音がして、あの人の声が聞こえた。
でも姿は見えない。
返事を返そうと口を開いてみても、かろうじて出たのは空気だけ。
「あれ、さっき止めたはずなんだけど…ごめん、痛いよね。今止血するからね。」
しけつ。シケツ。止血。
大丈夫だよ、だってどこも痛くないもん。
伝えようとしても、やっぱり声になることはなかった。
「顔、血だらけになっちゃったね。すぐ洗ってあげるから。」
涙じゃないよ
遠回しにそう言われた気がした。
うん、大丈夫だよ、分かってる。
俺のこと、全部分かるんだね。
『最後に見たいのは、最後に話したいのは君だから』
ありがとう、うれしい。
@寝華
#朝、目が覚めると泣いていた
7/11/2022, 1:29:28 AM