とある恋人たちの日常。

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 雪がやんで、少しだけ気温が暖かくなった。
 
 だからだろうか。
 勘違いした木々が甘い花を芽吹かせている。
 
「えー、この前まで寒かったのに蕾があるー」
 
 恋人と散歩したい。
 そう提案して、彼女とのんびり歩いていた。
 
 昨日も気温が高かったから、枝の端々に淡い色の蕾が顔を出している。
 
「春が近づいているんですねー」
「そうだね」
 
 
 そんなことを言った翌日の朝。
 仕事に行く前、窓を開けて気温差に震え上がる。
 
 夜のうちに雨が降り、気温が下がり、また雪がひらりひらりとちらついてきた。
 
「気温差ー!!」
 
 昨日見た蕾は大丈夫だろうか。
 こんな寒暖差は身体が丈夫な人だって身体を壊すレベルだ。
 
 俺は恋人に振り返り、お湯を沸かし始める。
 
「どうしました?」
「いや、外の気温が寒くて仕方がないから、温かい飲み物をいれる」
「ありがとうございます」
 
 ふわりと笑顔を向けてくれる彼女の表情。
 外の寒さを忘れさせてくれるくらい。
 
 とはいえ、まだしばらく寒暖差には気をつけていかないとね。
 
 
 
おわり
 
 
 
二九一、ひらり

3/3/2025, 1:31:38 PM