雷の日
私は家でブルブル震えていた。
雷が凄い音で鳴り響いてる。
怖い、怖い、怖い・・・!
中学になった今でも、雷だけは克服できない。
ひときわ近づいてくる雷に、私は思わず毛布を被って隣の部屋へ行く。
ガチャ
扉を開けると、お兄ちゃんがベットで本を読んでた。
「何?どうしたの?お前」
毛布を被ったままのお兄ちゃんがあっけに取られた顔をする。
が、次の瞬間、合点がいったように頷いた。
「そっか、雷弱かったもんな。怖くなっちゃったんだ?」
からかうように言われて、私はお兄ちゃんを睨みつける・・・ものの、雷の音に、たまらず、お兄ちゃんのベッドに入り込んだ。
「ちょっと、お前、何してるんだよ!」
抗議の声も聞こえないふり。
ここでいれば安心だ。
両親は共働きで二人共帰るのは遅いし。
もうここしか安息の場所はない。
「もー仕方ないな、おい、もうちょっと横にずれろよ。狭いだろ」
お兄ちゃんの声に、横にずれる。
人が側にいる気配に、私は心からホッとする。
「お兄ちゃん、雷止むまでここでいていい?」
私が聞くと、
「好きにすれば。お母さん帰ってきたら下に行けよ」
お兄ちゃんは、本を読みながら答えた。
私は本をめくる音を聞きながら目をつむる。
時折強い雷が来たら、お兄ちゃんの服の裾を握ってしまったけど、何も言われなかった。
一人じゃ心細くて恐怖で死にそうだったけど
私にお兄ちゃんがいてよかったな、と思った瞬間だった。
そして、私は段々と引き込まれるような睡魔に襲われながら夢の中へと落ちていったのだった。
1/25/2024, 2:39:25 PM