夢を見た。
寝てる時に見る方の『夢』。
ボクは夢の世界で演奏者くんと一緒に色んなところに出かけた。彼が話してくれた『夕焼け』も『星空』も見た。
⋯⋯⋯⋯夢、だった。
起きてこれ程後悔した試しがなかった。
どうして夢なのだとベッドを叩こうとして、音が響いたらめんどくさいからと辞めた。権力者という集団で一番弱いボクはあまり下手なことで目立ってはいけない。目立ったら最悪簡単に消されるか、住人に戻される。
ボクは元々この世界の住人だった。
前は洗脳なんてなかったから、殴って叩いて時には死にそうになりながら言うことを聞かせていた。ボクはそんなの嫌だったからどんな事でも素直に聞いた。例えそれが、どれだけ理不尽な事でも。
そしたら褒められた。で、権力者の末端に入れてくれた。
なってすぐは元仲間を殴ったりしなきゃいけなかったけど、上の人たちが洗脳という能力を手に入れられる薬を作ってくれて、住人を洗脳することで言うことを聞かせられるようになった。
嬉しかった。もう二度と元仲間を殴らなくて済むんだって。
そして、これはボクの生涯をかける仕事だと思った。思ったのに⋯⋯⋯⋯。
ボクはいつの間にか演奏者くんに惹かれて、この仕事を辞めたがっている。
⋯⋯⋯⋯せめて、夢見る心は消したくないから。
ボクは今日も誰かに目をつけられないように行儀よく過ごすことにした。
4/16/2024, 2:25:47 PM