冬晴れ
16時。車をぼーっと運転していたら、晴れているのに、ポツ、ポツポツと急に雨が落ちてきた。
青空と雲と雨。
なぜだろう。
「もう、死んだっていいじゃないか」
予見しない雨の様に、ふと急にそう実感した。
清々しい程の諦観。悟り、があるとするならば、近い感覚なのかもしれない。
仕事のお弁当用のおかずと、今日の晩御飯をスーパーで探す。
「…別に死ぬんだったら、見た目なんてどうでもいいか。今日、美味しければ」
一人暮らしのマンションに帰る。
押入れの奥の何年も読んでいないコミックを引っ張りだす。
「要らないよな。もう一度読んだら、捨てよう」
無意識にインターネットで、新しい名刺入れを探す。
ふと我に帰る。
「…いつまで、やるのよ今の仕事。どうせ死ぬんだよ?」
スマホを置き、ハイボールとパック寿司をほうばる。
うまっ。
窓越しの夜を見た。これで良い気がした。
1/5/2025, 6:32:46 PM