一笑

Open App

【風邪】

「うぁぁ…最悪だぁぁ」

何でよりによって
ペア授業の初っ端に風邪なんて

ペアの相手はランダムだし
絶対1人余るはず…その人に
申し訳ないな…っ

こんなにいい天気なのにさ
1時間目から6時間目まで
ペアの相手はどう過ごすんだろ…

カタンッ!

こんな時間に配達物?
と不思議に思い
カーテンを開けてみると

美形だけど絶対コイツ
ヤンキーやん!
みたいな容姿な人が
我が家のポストに何かを入れた。

その人が帰って数分後に
僕はポストの中身を確認し
驚いた。

内容は
ペア授業の内容や必要なもの
今日やっていたであろう授業内容のノート

僕は あんな相手がペアかよって
思っていたのに
まんまと騙された。

根はいい子で優しい子なのかもしれないな。
けど!それは漫画の世界!騙されないぞ!!
っと心の中で謳歌した。

そのヤンキーくんは
毎日同じ時間に
ポストへと手紙類を入れている

僕はお礼なんて言えず
その様子をずっと窓から見ていた。

ある日のこと
こんなに天気が荒れるとは
天気予報士の人もビックリと発言するくらい
天候が一気に変わってしまった。
大雨だ。

流石にかなって思い
カーテンを開けると
傘もささず…カッパも着ず
制服でポストの前に立っていた。

僕は無意識に玄関の方向へと足を進め
気づけば そのヤンキーくんの手を
我が家の玄関にまで連れてきてしまった。

気づいた頃には遅かった。
僕は知らない人を家に入れてしまった
もしくは、知らない家にヤンキーくんを
押し込んでしまった。
2つの罪悪感からオドオドしてると

ヤンキーくんが口を開いた。
「あ…ありがと……」

意外にも声は高くて
声変わりもしてない青少年のような声色だった。

「ずっと…話したかった」

「僕と!?」

見た目とは正反対に
ヤンキーくんは 人見知りのように感じた。

「窓から見てたよ…ね?」

僕はギクリとした
バレていたらしい。

そのヤンキーくんは
僕が休んでた時の学校の様子を
綴らに話してくれた。

最初の授業で失墜をしてしまった。
そこから怖がられるようになり
誰も相手にしてくれない。
先生にさえも距離を置かれるほどにまで

それを半泣きになりながら
語ってくれた。

僕は
【そんなことないよ】と
言うべきなのか
【頑張れ】と背中を押すべきなのかを
頭の中でループ化している。

悩んでいると横で
クシュンと聞こえた。
鼻が真っ赤で今にも凍えそうなくらい
寒そうに手同士を擦り合わせている。

「あ!ごめん!タオル持ってくる!」
っと体の向きを変えようとした
そしたら後ろから

「大丈夫…っ!
俺…このまま風邪ひいて
学校休もうかなって考えてるし」

僕は再びヤンキーくんの方へと
体を向け発言した。

「一緒に登校するためには
お互いが健康体でいることだよ」

っと伝え
タオルがある洗面所にへと向かった。

初めて友達が出来た。
嬉しかった。

案外、風邪をひいての
友達付き合いは悪くないのかもしれない。

12/17/2024, 12:31:55 AM