彼とわたしと

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“視線の先には”

 彼は授業中、生徒と目線を合わせない。これは私の憶測だけれど、大勢が自分の話を聞いていると思うと緊張してしまって、目を合わせられないのだろう。

 ただ…授業外で個別に話しかけると、ちゃんと目を見て会話をしてくれる。たまに逸らされるけれど、ずっと目があっていても緊張してしまうので、私としてはちょうどいい。今は冷静に「目を見て会話を」と書けるけれど、実際に話しているときは緊張と大きすぎる愛情のせいで全く脳が働かない。心のどきどきだけが、異常に働く。

 ここで私が言いたいのは、彼が私だけと会話をしている時は、たしかに、確実に、”目線の先には”私しかいないのだ。読者の一部は「そんなこと言っているけれど、話してる時は考えを巡らせて会話を続けようと必死になってるんでしょ」と思うだろう。結論から言うと、全く、そうではない。実際の私の頭の中を、このお題のおまけとして最後に付けておこう。

私「こんにちわ〜」
先生「こんにちは」

(!?!?朝から会えた、!?何でこんなところにいるの、?会えたの嬉しい、)

私「元気そうですね、何か良い事ありましたか?」
先生「今日は遅刻してきた人がいなかったんですよ」

(ぁ、ぇっと、ぁ、言葉綺麗、すき、今日も素敵、ぇぁ、やっぱり生徒のこと大切に思ってるんだ、そここそかっこいい、すき、)

私「え!すごいですね、、」
先生「とても凄いことですよ、みなさん偉い偉い」

(ぇ、もう行っちゃうの、?てか今日もおめめかわいい、まゆげかわいい、褒めてるのかわいい、ぇぇぇ、いや〜〜〜⁉️⁉️⁉️すき〜〜‼️‼️‼️⁉️⁉️)

7/19/2024, 1:07:01 PM