うみうし

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再び鏡の中に視線を落とす。

美しい金縁に似合わない私が、
つまらなさそうに自分を見つめている。

私だが私ではないそれを"自分"と呼べるのは、
鏡を隔てることで互いを向かい合わせているからだろう。

「あなたは誰?」

『誰?知らない。だって私がそこに立っていなかったら、私は私じゃない人を映すから』

ガラスの向こうで彼女がくすくすと笑う。
"それ"はもう、私の姿ではなくなっていた。



向かい合わせ.

8/25/2022, 10:31:20 AM