目が覚めると、見知らぬ猫が腹の上に乗っていた。
「にゃー」
にゃーじゃないよ。
誰だお前は。
白地に黒のハチワレ。毛並みが良い。飼い猫だろうか。
猫ってあったかい。というか暑い。どいてほしい。
手でつかんで下そうとするが、びくともしない。もちもちの皮だけ伸びる。
おっと、首輪がある。緑色の首輪。探ってみると札がついている。だが、この角度からじゃ読めない。
「どこの子だよお」
「にゃー」
この声はハチワレじゃない。足元にいる三毛猫だ。
枕元からは白猫がおれの顔を覗きこみ、早くご飯をよこせと言わんばかり。
みんな、おれの猫じゃない。
どこかからやってきて、ご飯だけ食べて、気づいたらどこかへ行ってしまう。
今朝来たハチワレも、きっとそう。
「にゃー」
「分かったってば。分かったからどいて」
【お題:目が覚めると】
7/10/2024, 12:13:57 PM