空模様
今日は空模様が不安定。
さっきから遠くで雷がゴロゴロ鳴っているせいでキミが不安そうに見つめてくる。
伏せた姿勢。上目遣いの何とも言えない頼りない表情で。
配達人を困らせるいつもの勇敢なキミはいったいどこにいってしまったの?
気まぐれに自分から近付いてきてはボクの身体にお尻をくっ付けるキミ。
寝息を立てて幸せそうに眠るその姿にボクの方が幸せになる。
だけど、何度言い聞かせても雷だけは苦手だね。
嬉しいような可哀想なような、でもやっぱり嬉しい、けど可哀想。
「いいよ、おいで。」
ボクはブランケットを軽く振ってみせ、キミの名を呼んだ。
申し訳なさそうに低い姿勢で近付いてくるキミ。
のそりとボクの足に手を掛けると勢いよく胸に飛び込んできた。
ボクはブランケットでふわりとキミを包(くる)んで抱きしめた。
小刻みに震えるキミをブランケット越しに優しく撫でる。
キミの熱とブランケットの温もりでボクの体温は一気に上昇する。
真夏の蒸し暑い夜の死闘が始まる。
ボクはキミを守るためにこの暑さに耐え抜いてみせる。
あぁ雷よ!早くどこかへ行ってくれ。
雷嫌いの愛犬デュークに捧ぐ
お題
空模様
8/19/2024, 11:53:12 AM