大空には無数の星がある。
きっと今見えているものは、それのほんの少ししかないんだろう。
そんなどうでもいい事を考えながら、星を数える。
ひとつ、ふたつ、みっつ。
だんだん途中でわからなくなって、もう一度数え直す。
そんなどうでもいい事をしていないと、自分が自分で無くなりそうな気がした。
「ここにいたんだ。」
何度そんな事を繰り返したか分からないけれど、後ろから聞き慣れた声がした。
振り返ると少し息を切らした君がいた。首に巻いたマフラーが寄れて肩からズリ落ちそうだ。
「よく分かったね?」
「何かあったらいっつもここに来るじゃない。」
君は笑って、手袋に包まれた手を差し出した。
今まで何度も掴んできた、その手を見た。
「帰ろう。」
きっと君は何度でも私に手を差し出してくれるんだろう。
2024.12.22 「大空」
12/22/2024, 2:49:02 AM