結婚証明書に署名をして、つつがなく結婚の儀式を終えた。
純白のドレスに身を包んだ彼女と腕を組む。
この一歩のために人生を捧げてきた。
拗らせた片思いを募らせ、ゴリ押しで恋の花を咲かせ、今日、ようやく実を結ぶ。
祝福の拍手を浴びながら、笑顔が積もったバージンロードに彼女とともに足を踏み入れた。
世界で一番きれいに着飾った彼女は、いつもより小さな歩幅でゆっくりと歩く。
はにかんだ笑顔を浮かべる目元にはうっすらと膜も張っていた。
雫として溢さないようにこらえているのが彼女らしくていじらしい。
「私を選んでくれてありがとう」
わずかに上ずった声でそんな言葉までくれるのだから、俺が泣きそうになった。
「……俺のほうこそ。手を取ってくれたこと、感謝しています」
幸せを噛み締め、まだ見ぬ世界への最初の扉を、今、開く。
『まだ見ぬ世界へ!』
6/27/2025, 2:09:00 PM