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届かぬ想い…。

昨日の物語と既視感ある感じですな。
(゜゜)…どうしよう…。

昨日が「神様へ」
今日が「届かぬ想い」

…。

♪神は言葉ばかり 人の餓えも儘ならず

…。

歌っている場合じゃないや。
…。
暗めにするか…明るめにするか…。
────────────────────────
最近研究所の周りで猫を見かける。

「あっ、また猫がいる」
お昼休憩の最中ぼんやり窓の外を見ていると、花壇の近くで一匹のクロネコが日向ぼっこをしているのが見えた。

最近よく研究所の周りで見かける猫だ。
首輪もしていないところをみると、多分ノラだろう。

「ごはんとかどうしてるんだろう?」

近年は餌付けに関しての取り扱いが難しいので、君子危うきに近寄らずという人も増えているかもしれない。

食べられる物を求めてひもじい思いとかしているのだろうか。

自由に見えがちだけど、ノラ猫も一苦労だなぁ。

ぼんやり窓の外のクロネコを見ながらそんな事を思っていると、猫に近付く影があった。

博士だ。

手にはペット用品店にあるようなフードボウルを持っている。

博士は猫に近付くとそっとフードボウルを置いた。
午後の日差しを受けて、フードボウルの中身がキラッと反射する。
どうやらあのフードボウルの中身はお水のようだ。

研究所の周囲は緑豊かで、住宅地とは離れた場所にある。研究所敷地内ということもあり、この後ご近所トラブルになるということはないだろう。
それでも、異臭を発生しない水をあげることだけに留めているのは、博士なりの配慮なのだろう。
動物が好きな博士の事だから、本当はキャットフードとかもあげたいのを我慢しているかもしれない。

クロネコは博士の置いたフードボウルをチラリと見ると、花壇から離れ、フードボウルに近付く──ことなく研究所の敷地内から出ていってしまった。

博士の配慮や想いはクロネコには届かなかったようだ。

お呼びでないと無視されたフードボウルを回収して項垂れる博士の後ろ姿は、哀愁が漂っていた。

4/15/2024, 2:37:52 PM