今こうしてあなたに向けて筆をとること、不思議な気持ちです。
あの頃
夢中になっていたDisneyにはもう何年も行っておらず、
あなたの好きだったポニーテールに髪を結うことはもうなく
苦痛にさえ感じた読書が今は趣味になっています。
あの頃はまだ口にできなかったお酒もタバコも経験しました。
運転免許を取り、古い車に乗っています。
ハイヒールも履きます。お化粧もします。
あの頃出会ってなかった人と結婚し子供を二人産みました。
犬との生活にも夢中です。
ウニを美味しく食べられます。
毎日家事をして、仕事にも出掛けます。
自分が何を好きなのか何を望むのかがわかります。
したくないことを仕方なく受け入れることはあっても、当たり前だと受け入れることはありません。
相変わらず
サザンを聞いていますか。
音楽に触れていますか。
空手はしていますか。
ブロッコリーは食べられませんか。
しっかりとアイロンされたシャツをきていますか。
勉強してますか。
縦長の美しい文字を書いていますか。
階段が焼き豆腐に見えますか。
歩いていて左右どちらの足を出すのかわからなくなりますか。
色の認知が皆同じではないと一緒に疑いますか。
相変わらず笑顔を振りまき鼻唄を歌ってヒョコヒョコ歩いてますか。
心配して泣きそうになったりしていますか。
そっと優しく手を繋いでいますか。
相変わらず誰かをひたむきに愛していますか。
あなたのあの頃しか知らないけれど、
あなたを今も想います。
あなたはあの頃の私を覚えてはいないでしょうし、今の私を想うことなどないでしょう。
けれど今もどこかで懸命に日々を過ごしていて、私の知らない時間を私と同じだけ過ごしてきたのだと思います。
25年後に文字だけ再会しましたね。
なんとなく、また25年後に再会する気がします。待ち遠しいとは言い難い、虚しさを伴う酷な予感です。
その虚しさを埋めるために私は手紙を書き綴ります。
投函も送信もしない手紙というものが私には必要なのです。そうして日々を過ごしています。
私の人生は、酷な予感を塗りつぶすように、そうして歳を重ねているのです。
#一筋の光
11/5/2023, 1:35:56 PM