夜は、理由をくれる
まだ準備が足りないとか
今じゃないとか
もう少し考えてからとか
優しい声で、
すべてを先延ばしにする
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時計の針は進んでいるのに
心だけが、同じ場所に残っている
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選ばなかった道が
足元に影のように重なっていく
踏み出せば消えると知っていても
踏み出す理由を探している
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あの日も、そうだった
言えば変わると分かっていた言葉を
喉の奥で、何度も転がした
正しいタイミングを待って
正しい言葉を探して
結局、何も言えなかった
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世界は何も変わらなかった
ただひとつ
自分の中の何かが
静かに、終わっただけだ
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「決断に必要なのは時間や状況ではない」
どこかで聞いた言葉が
今さら胸に刺さる
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雨が降る
理由が増える
今日は無理だ
明日にしよう
まだその時じゃない
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でも、気づいている
いつだって
足りなかったのは時間じゃない
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手のひらに残る
言えなかった言葉の温度
踏み出さなかった一歩の重さ
それらが、ずっと消えないまま
ここにある
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だから
もう一度だけ
同じ夜に立つ
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言い訳も
準備も
正しさも
全部、置いていく
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震える声でもいい
間違ってもいい
遅すぎてもいい
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それでも
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一歩だけ、踏み出す
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夜は、何も止めない
時間も、状況も
何も背中を押さない
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ただひとつ
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自分の意思だけが
静かに、前に出る
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その瞬間
世界は、初めて動き出す
4/19/2026, 12:59:16 PM