ほむら

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彼女の瞳はとても綺麗だ。思わず魅入ってしまうほどの輝きを持っていて、どの宝石よりも価値のあるものだと思う。その視線の先にはいつも俺が居て、彼女は優しく微笑んでくれる。それは俺にとっても同じで、俺の視線の先にはいつも彼女が居る。

そんな彼女が、熱を出してしまった。俺が付きっきりで看病しているのだが、ぼんやりしているのか視線が定まっていない。明らかに弱っている様子の彼女を見て俺は辛い気持ちになりながらも、懸命に看病した。

「食欲はあるみたいですね、あとはお薬飲んでゆっくり寝てください」

俺が作った昼食を完食した彼女に風邪薬を飲ませて、俺は部屋から出ようとした。しかし、彼女に手を握られてそれは適わなかった。

「待って、ひとりにしないで…」

瞳を潤ませながらそう言った彼女の視線はしっかりと俺の方に向いており、絶対に今ひとりにしてはいけないと思った。

「わかりました。貴方が眠るまでずっと傍に居ますよ」

俺は彼女の枕元に座って優しく微笑んだ。そうすると彼女は安心した様子で眠りについた。眠るまでに時間はかからず、すやすやと寝息を立て始めた。

「ふふ、早く良くなってくださいね」

テーマ「視線の先には」

7/20/2024, 7:59:44 AM