俺は今まで恋愛なんてしたことはない。女なんて皆、その場しのぎの道具でしかなかったからだ。派手に着飾り、濃ゆい化粧をし、きつい香水を纏い、己の欲望のまま男に媚びへつらっていた。そんな女達を俺は利用するだけ利用し、終わればまた新しいのに変える。それの繰り返しだった。
だがこの女は違った。派手に着飾ることもなく、媚びへつらうこともなく、誘惑の言葉にさえ聞く耳を持たなかった。その時俺は、初めて恋というものを知り、今まで付き合っていた女達とは関係を全て断ち、彼女に振り向いてもらおうと、あの手この手と必死になっていた。
だが彼女はするりと全てを交わし、一向に振り向いてはくれなかった。諦めたくない。失いたくない。行かないでくれ。消えないでくれ。俺の全てをかけて、お前を愛し守るから...
10/24/2023, 11:38:07 AM