とある恋人たちの日常。

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「遅くなっちゃった……」
 
 今日は久しぶりにカスタムのお客さんが多くて残業してしまった。
 とは言え、明日の素材も作っておかないと、明日の早番の人が作らないといけなくなっちゃう。
 もし、ワンオペになってしまった場合、お客さんをお待たせすることになるから、余裕を持って準備をしておきたかった。
 
「ただいまー」
 
 午前様になってしまったから、あまり大きな声で言わなかったけれど、返事はない。
 廊下の先が明るくて、居間に電気が付いているのは分かる。
 
 荷物を置いて、居間に行くとダイニングテーブルに簡単なご飯が用意されていて、申し訳なくなる。
 そのままソファを覗くと恋人が眠っていた。
 
 待ってくれたのかな。
 
 無防備に眠る姿は、幼さが残っていて自然と口角が上がってしまう。
 
 優しくて、気を使ってくれて、エスコートしてくれる彼は私より大人っぽいのに、こうやって見ていると子供のように見えて微笑ましい。
 
 それに彼への愛しさが溢れてしまう。
 
「待ってくれて、ありがとうございます」
 
 彼の頬に唇を乗せると、彼の口元が変な動きをする。
 
 あ! これは起きてる!!!
 
「起きてますねー!!!」
「バレたー!!」
 
 さっきまでの可愛らしいい感じじゃなくて、一気にイタズラっ子のような悪い笑みで声出して笑っていた。
 
 自然と私の腰に手を回して優しく抱きしめてくれる。
 
「おかえり。お疲れ様」
「ん……」
 
 あまりにも優しい声に、胸が熱くなってしまう。
 そういう顔と声に弱いのに、分かってやってるのかな。
 ズルいなと思いながらも、彼に身を任せてしまった。
 
 
 
おわり
 
 
 
一五〇、子供のように

10/13/2024, 12:24:25 PM