ゆんたろす

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-忘れたくても忘れられない-

『ただいま』

静まり返った部屋に1人電気をつけるのは何回目だろうか。

今までは彼のために早く仕事を片付けて、彼の待つ家に急いで帰ることが当たり前になっていたが
ある日家に帰ると、電気のつけっぱなしの部屋に畳み掛けの私の服が置いてあり彼が元の世界に帰ったことを物語っていた。

おかえりなさいって言いたいから、帰ってきたらちゃんとただいまって言って欲しいっす!

なんて言われていつの間にか習慣づいてしまった言葉に嫌気がさす。
言ったって、彼はもうおかえりなさいって言ってくれないのに。

ねえ、アモン。最初に私の家に来た時は君の個性かと思って少し警戒していたけど、君も同じくらい警戒していて、お互いなんだか面白い空気になってしまったよね。
君のお陰で私の部屋は綺麗になったし、家に帰るのが嬉しくなったし、仕事ばかりの生活から自分の時間を作れるようになって、心も少し余裕が出てきたんだよ。
君の背中の傷を治した時、君のことをこれからも守っていきたいと思ったんだよ。
ヒーローとしての自覚、っていうのもようやく目覚めたんだ。

なのに、なのに
なんで

『居なくなっちゃうの、アモン…会いたいよ』


長い時間が掛かるかもしれない。
少しずつだけど、悲しい気持ちから前向きな気持ちに変わっていけばいい。
彼はきっと元の世界に帰りたかった。帰ってよかった。
元の世界ではどうか、幸せに生きていて欲しい。
個性が蔓延るこの世界で、危険な目にあうこともなく、穏やかで幸せな日々を送れていることを信じて。

子供が傷つかない、幸せな世界になるように私もこの世界の子供たちを救えるように頑張るから。
君が憧れてくれたヒーローになり続けるから。だから

『いつか、また、会える日まで』

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MHA世界軸×aknk

10/17/2023, 1:59:34 PM