ストック

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Theme:喪失感

すぐには信じられなかった。
俺たちの上司が敵側の人間だなんて。
倒れている仲間たち。無表情で銃口を向ける彼。
悪い夢だと思いたかった。

でも、これが現実だと理解してしまったとき、
俺の心に最初に浮かんだのは、騙されていた悲しみでも、仲間を撃たれた怒りでもなかった。
彼と同じ道を歩むことができないという喪失感。
こんな感情を抱くのが、自分でも酷く意外だった。

多少は秘密主義めいたところはあったけれど、いつでも冷静で頼りになる彼。
決して付き合いはよい方ではなかったけれど、仲間として過ごした日々は彼にとってはすべて偽りの姿に過ぎなかったのだろうか。
彼のことを少なからず信頼し、一緒に任務に臨んだ日々が酷く遠い過去のことに思える。

動揺を隠しきれない俺に対し、彼は銃を向ける。
その表情からは何も読み取れない。

やがて彼は銃を下ろすと、俺に背を向けて去っていった。

罵ることも、問い詰めることも、追い縋ることもできず、
俺はその背中を見送りながら、もう戻らない日々が頭のなかを巡るに任せていた。

9/11/2023, 1:14:12 AM