ある日。いつも通り学校へ行って、いつも通り靴を履き替え、教室へ入る。
普段からギリギリを狙って登校する俺は、大抵、人の活気に満ちた教室を見ることになる。
そう、いつもなら。
普段通り、予鈴が丁度鳴るような時間にドアをくぐる。
しかし、誰もいない。本当にいない。なんなら電気さえ付いていない。
一瞬、今日は休みだったかと錯覚しかけたが、隣のクラスから朝礼の挨拶が聞こえる。
ならば、うちのクラスだけが、学級閉鎖か何かで休みかと学校からの連絡を片っ端から漁ったが、やはりそんなものは無い。
どうすればいいか分からず困惑したまま、既に二十分が経とうとしていた。
もう朝礼はとっくに終わって、1時間目が始まる頃のはずだ。
でも、やっぱり、いつまで待っても先生すら来ない。
そこまで行くと、俺は一周回ってテンションが上がってきた。
誰もいないなら、何もしなくてもいいだろう。というか、帰ったって文句を言う者は誰一人いない。物理的に。
いそいそと鞄を背負い直した辺りで、薄っすらと遠くから、規則的な電子音が聞こえてきた。
「…………夢かよ……」
擦り倒されたお決まりすぎる展開に溜息を隠しもしない。
夢オチ。何の面白みもない、ありふれたオチのつけ方だ。
寝ぼけた頭を引きずって、夢の中でもうしたはずの身支度をもう一度やり直した。この光景を見るのは本日二回目。なんだか損した気分になってきた。
夢で見た通学路を通って、夢で見た電車に乗って、夢で見た通りに登校する。
しかし、現実の学校は夢なんかよりずっとうるさくて、楽しげで、めちゃくちゃだった。
教室の扉をくぐると、いつも通り、もうなんとなく完成されたグループにまとまった生徒たちが、ガヤガヤとてんでバラバラな話をしている。
あんな寂しい夢なんかより、この不条理で、めちゃくちゃで、バカらしい現実の方がずっと面白そうだと、小さな笑みが溢れた。
登校してきて早々ニヤついていたせいで、俺に話しかけに来た友人に引かれたのは言うまでもない。
テーマ:バカみたい
3/23/2026, 8:35:58 AM