Amane

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怖がり

「◯◯ちゃんは怖がりだから、私が守ってあげるね。」
臆病な私を守ってくれた彼女は天使。彼女のその言葉にいつも救われる。
いつしか外に出るのも怖くなった。でも、彼女がいるから。大丈夫、大丈夫。

ピロンピロンピロン
大量の通知に心臓もうるさく鳴り始めた。恐る恐るスマホを手に取る。
"引きこもりは甘え"
"働く気ないの?w"
"投稿してる暇あったら働けよw"
"悲劇のヒロインぶんな"
「あ、あああ……うるさいぃ!」
耳を塞いでいたけど、脳内で鋭い声が反芻してしまって目が回る。
インターホンが鳴った。彼女だ。
耳を塞いだまま、這いずるように玄関に降りた。
「し、しおり!しおり、助けてぇ……。」
「どうしたの?落ち着いて。」
「ご、ごめん……。」
画面を見せると、しおりはふふっと笑ってこう言った。
「なんでこんな投稿したの?もー、◯◯ちゃんは怖がりで何にもできないんだから、こんなことしなくていいのに!言ったでしょ、私の言う通りにすればいいんだよって。」

あ、そうだ、そうだった。なんでこんなことしたんだろ。私は無能な人間で、だけど彼女だけが私を必要としてくれてるから、彼女の言うことだけ聞いてればよくて、

あれ、そうだっけ?いつから、私は無能になった?なんで、全部怖くなったんだ?なんで?

その時しおりの笑顔を見て気づいちゃったんだ。あ、この子は天使なんかじゃない。天使みたいに白い肌や歯を光らせて笑ってる悪魔だ。私はこの子の人形なんだ。しおりは初めて会ったときから遊んでるだけなんだ。

「ごめん、しおり!私ちょっとでかけてくる!」
「え?」
しおりの笑顔が消えて困惑したように目を見開いていた。
「そんで、帰ってきたらハローワークに行くんだ。」
「な、何言って……」
「だからさ!しおりはもう来なくていいよ!」
私は地黒の肌と黄ばんだ歯を光らせて、とびっきりの笑顔を彼女に向けた。

3/16/2024, 3:36:05 PM